はじめに
みなさんこんにちは。
ディーメイクスタッフのFです。
普段は裏方に徹しているので、このような場所に出てくることはあまりないのですが、ディーメイク Advent Calendar 開催ということで、今回慣れない筆を取らせていただいた次第です。
……とは言うものの、私はプログラマーやエンジニアではないので、他のスタッフの方のような技術的な話は出来ません。
なので、私の「メモ」の付き合い方と電子化、そしてアウトプットについて話をさせていただきます。
なぜ私はメモを取るのか
理由:
・加齢による記憶力の減退
人の世において、年齢だけは平等です。みな1年に1歳は年を取っていきます。
いつまでも若くと言いたいところですが、やはり壮年期より、記憶力の減退や衰えは隠せなくなってきました。
でも衰えた部分はメモを取るなど、対策することである程度補う事ができます。
また仕事や日常で意識づけをしっかりしたい。タスクでも細かい物を取りこぼしたくないという点もあります。
(例:スーパーに買い物に行ったときに、事前に購入しようと思っていたものを買うのを忘れた)
・ライフログとしての意味
これらの備忘録や感想、記録は蓄積されていくと、10年後に見返した時に、社会情勢や自身の嗜好、考えの変化に気づくことができるかもしれません。
例えば、年の終わりに自身の年間の本のベスト10という物を毎年作成したとします。
これを後年に見比べてみると、自身が読んでいるものが、より細分化されていたりレベルが上がっていたりしている、または別のステップに進んでいる事に気が付くでしょう。
「ライフログ」という言葉が世間に広まりだしたのは15年ほど前に出版された故・ゴードン・ベル&ジム・ケメル『ライフログのすすめ: 人生の「すべて」をデジタルに記録する!』が出版された前後辺りではないかと思いますが、自分史という観点で見た際にこの情報類は大きな意味を持ちます。
・アイデアを生み出すため
アイデア(idea:イデア)というと、私たちにとってはいささか大げさに聞こえてしまいますが、定義の一つとして、任天堂の宮本茂氏の「アイデアというのは 複数の問題を一気に解決するものである」というものがあります。
なので、かつての「カセットウォークマン」や「iPhone」のような、新規市場を生み出す革新的イノベーションの様なものではなく、宮本氏の定義するような複数の問題解決を促すものと言わないまでも、日常や業務に至る所に存在する問題解決の手法や、自身の戦略的目標設定やそれを実施する戦術的方法もアイデアと定義して良いと思います。
アメリカのAC(広告審議会)の設立者、ジェームス・W・ヤングはその著書『アイデアのつくり方』で、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と述べています。
原料となるインプットが多ければ多いほど、アイデアという名の解決手法を何通りも生み出せたり、妙案が浮かぶかもしれません。
こういった複数の理由から、私はメモを取っています。
では、どうやって記入しているのか。
以下は全く参考にならない私の記入方法です。
一次メモへの記入
写真はダイゴーのジェットエース。小型鉛筆が付属しており、サイズは一般的なPCマウスに近い大きさです。もっと小さく、罫線のないカジュアルなものをお求めの方は同社の製品に「すぐログ」やパイロット社のとじ手帳があります。また、これらのメモ帳の利点は付属品で背に差し込むタイプの鉛筆が付いていることです。美術館や博物館などの展示では、ボールペンなどはメモに使用できず、鉛筆のみの筆記が許可されている場合が多いので、これも利点ではあります。
これを一次メモとして、基本公私問わず、外出の際にはポケットに入れておいて、ふと思い浮かんだ事や、あらゆる物事を観察していて気づいた点や、興味のある事象、気になった本の題名などをメモしたり、ダジャレ、気になったワード、買い物の際の備忘録などに使っています。
私がアナログで書いているのは、ポケットから取り出してすぐ書けるというのと、「覚える」という部分も大きいです。
また、他にも漢字や語彙は使わないと忘れていくので、ポケット国語辞典で漢字を確認して書くこともあります。社会人生活が長くなるにつれ、義務教育の魔法は徐々に解けていってしまうと言っても差し支えないでしょう。
とは言っても、私もかつてはデジタル一辺倒でした。絶対に大事なことはデジタルメモでも「覚える」という意識付けさえすれば基本忘れないとは思いますが、怖いので自身を安心させるために書いています。
二次メモへの記入
一次メモに書いた雑多な事柄を更にピックアップして手帳に転記します。
携帯手帳には月間スケジュールに、大まかな予定を記載していますが、これはスケジューリング的に忘れないようにしています。
本当に重要な内容、または時間厳守のものがある場合にはリマインドしてもらいたいので、Googleカレンダーのタスク機能にも追加します。
例えば「フレディ・グリーン(1930年代のスイング期のジャズ・ギタリスト)とアル・ジャクソン(1960年代のR&Bのドラマー)」というワードが思い浮かんだりします。これを一次メモに記載し、更に手帳(二次メモ)に記載します。ちなみに端的なキーワードのみを記入すると、後で見返した時に意味不明な文字の羅列となり、思い返せない場合があるので、ある一定の文節にして整えます。そこから若干連想ゲームですが、ふと考えた内容を下に付け足したりします。このケースだと「共通項は徹底したシンプルな一芸演奏。アフリカ系アメリカ人」という風に。そこからまた徐々に書き足しが増えていったりした場合は次の項目に移ります。また長文で思い浮かぶこともあるのでそれはそれで、書き留めておきます。例えば「大谷選手が居た花巻東高校の野球部は目標策定にマンダラチャートを導入しているが、他にもマーケティングにおけるSWOT分析の考え方を教育機関等での生徒指導に生かせないか」等。
二次メモとしては他に用いているものは、寝室に置いてあるビジネス型デスクダイアリーと日記があります。
おおよそデスクダイアリーには先の携帯している手帳と大体同一の内容を転記していますが、内容は微妙に異なります。これは、寝室のデスクにあるため、一次メモを通さずに、就寝前の読書や、デスクのPCで見るYoutube動画の感想等を直接記載することが多いからです。
日記は…単なるB5の大学ノートに記載している日記です(笑)。日記文学の金字塔、永井荷風『断腸亭日乗』(彼はちなみにディーメイクの本社のある市川市に晩年在住していました)に感化され、10代後半の頃から書いています。一時多忙などの理由により断筆していた時期もありましたが、再開して現在に至ります。
日記に関しては習慣化することで、胆力を鍛えられると当時考えていましたし、その考えは今も変わっていません。
番外としては、旅先では野帳を使うこともあります。これは表紙が固いので、ご当地記念スタンプを押印したり、風土記としての感想の記入。ホテルのチェックイン後にその日のタイムスケジュールや、購入した物品や食事のレシートを添付したりしています。
この辺りの道具は現在雑多になっているので、今後洗練させたいところであります。
題材の吸い上げと発展(三次メモと内容の深化)
これらの箇条書きとなっている二次メモから、気になった題材を拾い上げて、そこから調査・勉強したり、内容を発展させることがあります。(本やスポーツ、時事ネタの感想など)
この他に発展した題材は京大式カードの他に、ルーズリーフに記入することもあります。これはケースバイケースなのですが、ノートではなく、ルーズリーフに記入するのはスキャナによるスキャニングやファイルバインダー内での組み換えが容易だからです。
三次メモの電子化と整理
これら手書きのメモ類はRICOHのドキュメントスキャナScanSnapでスキャニング、電子化します。
かつてスキャナと言えば、家庭用プリンタに付属しているような平面のフラットスキャナが主でした。これはプリントアウトされた写真や絵の下絵を取り込むのには適しているのですが、文書やメモ類を取り込む事を考えた際に、これはガイド面に1枚1枚原稿を正しくセットしなくてはならない上、読み取りも遅かったので、電子化の作業効率も著しく低いものでしたが、ScanSnapは非常に便利な道具で、印刷された活字であればOCR化し、検索可能なPDF文書への変換も自動で行ってくれます。
読み取り速度も速く、電子化に特化した画期的な製品です。
そして、読み取った資料やメモはタグ付けしてクラウドアプリ「Notion」で管理しています。(注:私的なもののみ)。
またNotionにはブラウザ用のネットページ取り込みプラグインがあるので、こちらを利用して気になったニュースやネット記事のスクラップ化を行ったりします。
将来的にはこれらのメモや情報をもっと蓄積し、AI等の補助機能を使いつつ抽出して、要素と要素の組み合わせでアイデアを何個も作成したり、それを題材に文章を書いたり、研究していくことが夢です。
ちなみにこの記事自体も、実はメモとアイデアの組み合わせで作っていたりします。と言っても、意図していたわけでもなく書いていて気付いたのですが、ざっと構成要素を見ると、下記のような感じでしょうか。
題材:メモを書くことについて
下記は各種メモから自身の中で既にインプット、思考されている要素
→メモの効用とは
→対象事物の観察
→野村ノート
→学術的研究
→フィールドワーク(文化人類学)
→タスク整理
→ビジネス・仕事術
→メモの取り方
→『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』
→コーネルメソッド
→ライフログ
→日記
→参考となるもの
→『断腸亭日乗』
→『ゲーテとの対話』
→写真
→増山たづ子
→アイデア出し
→アイデアやイノベーションとは既存の要素を組み合わせる事
→他の考え方や定義
→枯れた技術の水平思考
→宮本茂氏のアイデア定義
→作成手法
→ジェレミー・アトリーの「アイデア・フロー」
→『知的生産の技術』
→『アイデアの作り方』
→保管・整理法
→アナログ
→ルーズリーフ
→京大式カード
→大学ノート
→分類法
→ファイリング
→バインダー
→投げ込みボックス
→書類ケース
→デジタル
→スキャニング
→カメラによるメモの撮影・保存
→保管方法
→ローカル環境
→メインPCのHDD
→CD、DVD、BD
→FDD、MO、USB、SD、HDD
→クラウド環境
→サーバー
→NAS
→自サイトのあるレンタルサーバー
→アプリケーション
→Goodle Drive
→Notion
→タグ付け可
構成要素は一部重複しますが、私の中に大雑把に細分化するとこのような感じです。
この組み合わせたアイデアを更にふるいにかけ、肉付け(テキストのボリュームを増やす)・校正をしていくといった形です。
終わりに
いかがでしょうか。
長くなりましたが、取り留めのなく、私のメモ取りの効用と理由をお話させていただきました。
人は世の中の事象を全て知ることはできません。おそらく人生に置いて知りえる事柄は神羅万象の中の数%にしか満たないのではないかと思いますが、インプットし、考え、アウトプットし、時には実行するというルーティンを今後も続けていきたいと思っています。
拙文にて、まとまり切れていない所も多々ございますが、これに関しては皆様のご寛恕を乞う次第であります。
参考文献
- ゴードン・ベル&ジム・ケメル(2010)『ライフログのすすめ: 人生の「すべて」をデジタルに記録する!』早川書房
- サンケイスポーツ(2020)『追悼 野村克也 (サンケイスポーツ特別版)』サンケイスポーツ
- 梅棹忠夫(1969)『知的生産の技術』岩波書店
- 紀田順一郎(1984)『書斎生活術』双葉社
- ジェームス・W・ヤング、今井茂雄 訳(1988)『アイデアのつくり方』阪急コミュニケーションズ
- ジェレミー・アトリー&ペリー・クレバーン、小金 輝彦 訳(2023)『スタンフォードの人気教授が教える 「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法』KADOKAWA